読書の時間がなかなか確保できなくて、ようやく読了。

ローレライ小説版は、「娯楽大作」という呼び名がふさわしい映画版とは対照的に、重く奥深い主張を持った感動巨編だった。

読んでいる間中、通奏低音のように心にあったものは
「こんなにも全ての人を傷つける戦争というものが、なぜあるのか、なぜ行われてしまうのか」という思いで。
そして、そういう自分の中の問いに対して遠くの方からかすかに聞こえてくるのが
「守りたいものがあるから」
と言う言葉で。

では、そんなにまでして守るべきものとは何なんだろうと・・・。

福井氏の文章には、読者を惹き込む魅力とともに福井氏なりのしっかりした主張があり、なにより、あの時代、戦争と言うものに否応なく巻き込まれ、必死に生きた人たちへの敬意が感じられて、シビアな物語ながら随所に温かみが感じられて、何度となく涙腺が緩んだ。
福井氏は、この作品は「目に見えない力によって書かされたもの」というような言い方をされているが、確かにそういう類の力を感じる作品だった。

この小説にめぐり合えたことを幸せに思う。

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