春の雪

2005年11月6日 映画
さて、2本目は「春の雪」

やればできるじゃん、行定!

って感じでしょうか(^_^;)

こちらもまた、三島由紀夫の世界、きっちり見せてもらいました。
いやもう、すばらしい映像美!!!
夢のシーンとか、ああいうシュールというかエキセントリック、大好き。
役者さんたちも、三島の世界をしっかり把握して演じてくれてて、心配していた妻夫木くんの清顕もお子ちゃまなおぼっちゃまがちゃんと出来上がってました。

小説のほうを読んでてもしばしば感じるんだけど、三島由紀夫って言う人はやっぱりすごい、天才なんだなーと感じる瞬間が何度もありまして。
どういったらいいか、普通は作者の思い入れがどの人にあるのかっていえば主人公にあることがほとんどで、読むほうにしてもそれが当たり前なんだけど、この「春の雪」については小説も映画も、どの人物についても客観的で、そういう風に書き分けられる頭脳というか精神力というかって、かなりすごいものだと思うのです。

で、小説でも、三島由紀夫自身がこの作品の中にいるとすれば清顕の友人の本田なんだろうなーと思うのだけど、映画の方でも強いて言えば一番感情的に描かれてるのが本田で、映画では清顕の本田に対する感情っていうのもわかりやすく描かれていて、最後にこの2人が抱き合う、というより、本田が清顕を抱きしめるっていうのは、あれは三島が清顕を抱きしめてるわけで、要するに三島と言う人は、男女の恋愛を描きたかったんじゃなくて、恋をしてここまで身をやつしてしまう清顕のような男の子が描きたかったんだろうなあ、そういう美しい少年がぞくぞくするほど好きだったんだろうなあ、と思うわけです。
そして、そこまでちゃんと描いた行定監督にはブラヴォーの賛辞を贈りたいです。
そこまでちゃんと描いたからこそ、この作品は三島作品の映画化として完成したと思うので。

というわけで、100点満点をつけたいところなんだけど、そうはいかない部分が残念ながらありまして・・・。
それは、一番最後の宇多田ひかるの歌
なんでこういう映画にああいう俗っぽい人を使うかね(怒)
もう、余韻も何もあらばこそ、シュウゥゥゥゥゥ〜と気持ちがしぼんでしまいました。
今ノリノリの岩代太郎氏を音楽に起用してるんなら、最後の最後まで岩代氏に任せてしかるべきでしょうに。
こういうくだらないことを考え付くのって誰なんでしょうね。
ほんっとに腹が立つわ。
せっかくいい映画だったのに。

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