夜市

2006年1月30日 読書
ホラー大好き。

各所で絶賛されてるので、文庫のなるのを待てずに買いました。

子供の頃、縁日が大好きでした。
私が育った東京の下町では、1週間とか2週間おきの決まった曜日にあちこちの商店街で縁日が開かれていて、夕食後、両親に連れられて良く行きました。

縁日は、華やかなんだけど、なんとなく物悲しいのです。
夜の商店街の、ほんの何十メートルの間だけが明るく賑やかで、その前後はふっつりと“夜の闇”。
一通り行ったり来たりして、金魚すくいやったりヨーヨー釣りやったり、あんずアメや綿菓子やお面なんかを買ってもらったりして、父が「じゃあそろそろ帰るかぁ」と言って家族で帰路につく。
その、縁日を抜ける瞬間というのはなんとも言えない、何か別世界に入り込むような・・というより、別世界から抜け出してくるような、そんな不思議な感じがあり、とてもとても寂しく、家までの夜道が少し怖ろしく、私はよくそんな情景が夢に出てきて怖い思いをしたりしました。

この小説は、子供の頃のその夢の怖さを思い出させてくれます。

縁日の思い出があるせいか、最初から最後まで情景があざやかに目に浮かんで、読み終わって1本の短編映画を観たような、そんな余韻が残りました。

今は全然怖くない。むしろ郷愁をかき立てられる、私にとってはホラーというよりファンタジーと言えるかもしれません。

「千と千尋の神隠し」と雰囲気が似てるかも。
これが「ホラー」と言われるのなら、こういうのって日本独特の「ジャパニーズ・ホラー」と言った方がいいような気がします。
この雰囲気をきちんと捉えた映画が出来たら、外国受けするんじゃないかな?^^;

もし映画になるなら、私は実写よりアニメで観たい、そんな小説でした。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索