ショパンピアノ協奏曲第1番
待望のCDが出ました。
ユンディ・リの弾く、ショパンとリストのピアノ協奏曲1番です。
ショパンコンクールでこの曲を弾いて15年ぶりの優勝を獲得したユンディですからいつかは出してくれるだろうとは思ってましたが、こんなに早く、まだ若い今の演奏を出してくれたことを本当に嬉しく思います。

さて、私はショパンのピアノ協奏曲1番という曲自体がとてもとても好きで、この曲のCDはこれを含めて5枚持っています。

・巨匠アシュケナージが1997年、60歳の時に自分の指揮で弾いたもの
・1985年、ブーニンが19歳でショパンコンクールで優勝した時のライブ盤
・世界一のショパン弾きポリーニが1960年代、20歳前後の頃に弾いたもの
・天才マルタ・アルゲリッチが元夫の指揮者シャルル・デュトワと1998年にレコーディングしたもの−これはオーケストラの演奏も良いです。

23歳になったユンディ・リの今回のアルバム。

クラシック音楽の面白さというのは、同じ曲であっても演奏者によって全然違うものになるというところにあるのですが、この大好きなショパン1番でそれを実践してみると確かに、5者5様ですホントに面白い。

この5枚を簡単にレビューするとすれば、
・アシュケナージ  お手本盤。情緒や面白みはあまり・・・
・ブーニン  一生に一度の、神様が降りてきた演奏
・ポリーニ  色っぽい!なまめかしい!20代にしてこの艶は驚異。
・アルゲリッチ 派手 華麗!そして上手い!
そしてユンディは、優美、無垢。

演奏家として、と聴いたときにプロを感じるのはポリーニとアルゲリッチです。
特にポリーニのCDはすごすぎる。輸入版なのでいまいち演奏時期がはっきり読み取れないんだけど、もし1960年の演奏だとしたらまだ18なんだよ!テクニックも表現もカンペキで、もはや「早熟」という言葉しか思い浮かばない。わかりやすく例えると「NANA」のシンちゃんのイメージ(って、知らない人にはなにがなんだか、ですね、スミマセン(-_-;))

アルゲリッチの演奏は「人に聴かせるためのものだなあ」ってすごく思います。多分これは天性のものなんだろうけど。のだめの演奏がきっとこんなタイプなんだろうなあ、なんて思うのですね。自由奔放、思いのままに好きなように弾いてるだけなのに人を惹きつけるっていう。 

じゃあ、ユンディくんはというと、以下、とても独りよがりな感想ですが。
彼はまだプロの演奏家としての意識=自己顕示欲っていうのが出てきてないのだと思うのです。まだまだ謙虚な若者で、まだまだ単純に好きで、うまくなりたくて弾いていて。で、その段階の彼の演奏には、アルゲリッチのような大らかに人をひきつけるようなものはないと、私は感じるのです。
だから実を言うと、こういう大作はまだ演奏会で聴衆に披露するレベルではないんじゃないかなーとも思うのです。一昨年ぐらいにN響でこれを弾いた時の心もとなさを思うと、そんな風に感じます。
でもこのアルバムは、そんなユンディの「今」がきっちり収められていて、多分今後演奏家として成功していくうちにこんなキラキラした純粋さはなくなっていっちゃうんだろうなーと思うと寂しくもあり・・・(涙)だけど、今後演奏家として鍛えられていくうちにどんな風にスケールを増していくのかが楽しみでもあります。

今度就職した会社の近くには、クラシックコーナーがとても充実しているCDショップがあって、数日前に覗いた時にはキーシンのショパン1番があったのだ。ルビンシュタインとかバックハウスとかの往年のマエストロのものも。
めでたく初月給がいただけたら、自分へのご褒美に買っちゃおうかな〜。

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