本屋さんで「あ、『イン・ザ・プール』の人だぁ」と思って手に取った1冊。

でしたが、とんでもない名作だった。

ただ単に「面白い」とか言うのではなくて・・・

この方、1959年生まれなのですね。
そしてご自分(に重ねた)1979年から1989年までの10年間を点描のように6篇の短編にしていらっしゃる。
それはそのまま、1960年生まれの私の10年にも重なるというか・・・もちろん、人生の中身は全然違うし、私はその半ばの1985年に関西に嫁に来てしまっているわけだけど、過ごしてきた時代と世代って言うものが同じなわけで、なんかもう、むさぼるように読み切った。

どんな世代の人が読んでもそれなりに面白く読めるとは思うけれども、同世代にとってはそれとは違う特別な感情を掻き立てられる作品だと思われ。

そして、今はおじさん、おばさんな私たちだけど、こんな風にちゃんと青春時代があって、そのときの「流行の最先端」を生きてきているのよって、なんかそういうことをちょっとわかってもらえたらな・・・などと思ったりして。

いやいや、作者にはそんな後ろ向きな意図は全くないと思います、誤解なきよう。

とにかく、久々のクリーンヒットな小説だった。

特に、1979年、久雄少年が名古屋から東京に出てくる1日の物語は秀逸。
カラリと書かれているのに、現在母親をやっている私には、涙なしには読めませんでした。

しばらく奥田英朗にハマりそうな予感。

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