沼地のある森を抜けて (新潮文庫)/梨木香歩
2009年2月9日 読書 コメント (2)
この人の作品はいつも、ごく普通のお家に入ったつもりが、廊下を進んだ先のドアを開いたら宇宙だった…!みたいな。
これもそんな感じで、淡々と読んでいるうちに「ん?んん?」
なんかいつの間にか、「ぬか床が呻い」たり「ぬか床の中に卵が発生(?)」したり「そこから誰かが発生(?)」してりしてて、異常事態に悩む主人公が周りの人に相談したりするんだけどみんなそれほど驚くこともなく対応してたりして・・・。
3章に1章というリズムで異世界のことが描かれ、村上春樹の「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」のような構成です。
それはこの小説の中でテーマとされている「命の(細胞の?種の?)分裂、増殖」という事象を命の側から見せてる世界。
リアルな現実世界とファンタジックで象徴的なな世界が交互に目の前に現れて、この人のヴィジュアルチックな文体によって壮大な絵本の中を旅したような気分でした。
生物学的見地から「命」というものを語るとこうなるのかな・・・という。
「独りでは寂しいから」という原初の孤独感からは、人(生物)は解放されることはない。
生き物の遺伝子にはその孤独感が刷り込まれているから、自分に似た別のものと結びついて数を増やそうとするのだ・・・・
私たちは皆「遺伝子」という寄生者の宿主にすぎないのだ・・・
大まかに言うとこういうことじゃないかなーと思うのだけども、その説にはふかーく納得してしまい、「自分を律して、自分を見失わず、自分の意思をしっかり持って」なんて「自分、自分」としゃかりきになるのはバカバカしいやーと肩の力が抜けたような気がしました。
この人の作品は今までも「人と人との繋がり」みたいなのがテーマに書かれているけれども、今回ほど「自分も誰かと繋がってるんだ」ということを、リアルに鎖をイメージして実感したことはなかった。
そしてそのように実感できたことで、なぜかものすごく深い安心感に包まれたのでした。
これもそんな感じで、淡々と読んでいるうちに「ん?んん?」
なんかいつの間にか、「ぬか床が呻い」たり「ぬか床の中に卵が発生(?)」したり「そこから誰かが発生(?)」してりしてて、異常事態に悩む主人公が周りの人に相談したりするんだけどみんなそれほど驚くこともなく対応してたりして・・・。
3章に1章というリズムで異世界のことが描かれ、村上春樹の「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」のような構成です。
それはこの小説の中でテーマとされている「命の(細胞の?種の?)分裂、増殖」という事象を命の側から見せてる世界。
リアルな現実世界とファンタジックで象徴的なな世界が交互に目の前に現れて、この人のヴィジュアルチックな文体によって壮大な絵本の中を旅したような気分でした。
生物学的見地から「命」というものを語るとこうなるのかな・・・という。
「独りでは寂しいから」という原初の孤独感からは、人(生物)は解放されることはない。
生き物の遺伝子にはその孤独感が刷り込まれているから、自分に似た別のものと結びついて数を増やそうとするのだ・・・・
私たちは皆「遺伝子」という寄生者の宿主にすぎないのだ・・・
大まかに言うとこういうことじゃないかなーと思うのだけども、その説にはふかーく納得してしまい、「自分を律して、自分を見失わず、自分の意思をしっかり持って」なんて「自分、自分」としゃかりきになるのはバカバカしいやーと肩の力が抜けたような気がしました。
この人の作品は今までも「人と人との繋がり」みたいなのがテーマに書かれているけれども、今回ほど「自分も誰かと繋がってるんだ」ということを、リアルに鎖をイメージして実感したことはなかった。
そしてそのように実感できたことで、なぜかものすごく深い安心感に包まれたのでした。
コメント
「ハードボイルド」も結構好きなので、「沼地」もそのうち読んでみます。
この人の小説は独特で、私は大好きです。
でも、割と女性的な文章、作品だとも思うので、男性の感想をぜひ訊いてみたいです。お時間できましたら、是非!