人を殺すことは悪いこと。
では、殺さなければいいのか。
人を殺すことは悪いこと、だから、人殺しは悪人なのか。
では、殺さなければ悪人ではないのか。
「悪」とはなんであるか。
ということを、読んでいる間ずっと問いかけられていたような気がします。
いろんなタイプの登場人物によって、わかりやすく書かれているけれども、
主人公の祐一をどう解釈するか、はとても難しいと思いました。
情に流されてはいけないんだ、と思う反面、「殺した」というただ一つのことだけで全部を否定されてしまうことに、理不尽を感じてしまいました。
でも、これは小説で、祐一と彼を取り巻く人々のことを私たちは読者の立場から知ることができるからそんな風に思うだけで、現実社会ではおりしも市橋容疑者逮捕、じゃあ市橋容疑者に対してそんな感情が持てるかと言えば、そうではないわけです。
結末は、のどに小骨が引っ掛かる感じです。
これが飲み込めなくて、今日一日、ずっとこの小説のことを考えてしまいました。小説の中の登場人物である光代は、読者である私たちのようには祐一のことを知ることができないので、あの結末が当たり前なんです。
それでも、読者としてそれを受け入れるのが辛いです。
おばあちゃんの強さが救い。
このおばあちゃんの存在が、すごく心に残っています。
妻夫木で映画化。来年秋公開だそうです。
祐一をどう描くか、解釈はすごく難しいと思う。
監督は「フラガール」の李相日。
光代は深津絵里、樹木希林がおそらくおばあちゃんでしょう。
他に考えられないくらいハマリ役だと思います。
期待します。
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