番組進行役の笑福亭鶴瓶と1人のゲスト俳優が1つのセット内でエチュード(即興ドラマ)を10数分間演じ、その後観客のいる隣のスタジオに移って収録したドラマを見ながら反省会(プレビュートーク)を行う。(Wikipediaより)
1998年から続いている番組がやっと最近になってDVD化されたもので、収録されているのは200回以上になった中から厳選4話ずつ。
これは恐ろしい企画です。役者さんたちは「俳優」として出演して何者かを演じているわけですが、その向こうにその人となりが見事に透けて見えてしまうのです。
見てる方にとっては大変に面白いです。が、役者さんにとっては厳しい番組だと思いますね。
今回、其ノ一、其ノ二を鑑賞。
出演は、阿部サダヲ・上野樹理・佐藤隆太・羽野晶紀・谷原章介・中尾明慶・八島智人・生瀬勝久
私的ベストテン形式で感想を。
№1:谷原章介
この8人の中ではダントツ。あっという間に自分のペース、そして自分の一番得意とするキャラに落ち着いて、ストーリーをぐいぐい引っ張ってちゃんとエンディングに落とす。
キレイでカッコ良くて、そして野心もありあり、プライドもありあり、な人と見えました。
つるべさんがタジタジな場面は他の人でもよくあって、その時の状況によって面白がっていたり、逆に腹立てたりしているのですが、谷原さんの時にはもう蛇に睨まれたカエルのようだった。谷原章介と言う人は、おそらくオーラのある人なんだろうなあ、と感じました。
№2:佐藤隆太
迷ったけど、8人の中で一番面白かった、ということもあり、第2位。
台本も打合せもななく、設定も「6畳一間のアパート」程度のものすごーくアバウトなものなので、スタートがかかってから二人が探り合いながら芝居が進むんだけど、佐藤さんの時には、おそらくつるべさんと波長が合ったんだろうな~と思いました。
なんせ、佐藤隆太くん、謙虚。もうこの人は本当に、すごーく謙虚で気配りのある人で、でも芝居をさせたらすごいんですっていう感じで見なおしました。
役者さんたちは、そりゃいろんな人がいますが、傾向としては自分のペースで押し切ろうとする人が多くて、それが強すぎてつるべさんの芝居を受けないで進めようとする人も多いわけです。
が、この人は全部受けて、そっから自分の芝居を作る、という姿勢で、だからつるべさんがどうしたいのか、ということもおそらく考えながら芝居をしていたんだろうと思われます。つるべさんも、終わった瞬間から「面白かった!」を連発。
ということで、1本の作品としては佐藤さんの時が一番完成度が高く面白かったです。
№3:生瀬勝久
芝居はさすがの上手さ。進行をほとんどつるべさんにまかせっきりで、でも要所要所で効くセリフを発してさりげなーくストーリーを引っ張って、最後はうまいこと落としました。なんというか、「素人を手玉にとる」という印象。本気出してる感じではありませんでしたね~。その貫禄にも圧倒されました。
№4:中尾明慶
最年少。若いからこその負けん気と素直さで、いい感じ出してました。
演じたのは「ちょっとヤンキーっぽいフリーターの兄ちゃん」で、この辺はほとんど素と思われますが、つるべさんとのやり取りの中で、ものすごーく常識人であり、そしてとても優しい人なのだということがわかります。
なんとかストーリーを作っていこうとする部分も見えたけど、それについてはつるべさんともう一歩、息が合わなかったのが残念。
№5:阿部サダヲ
番組が始まるにあたって、一番リクエストの多かった俳優さんとのことで、第1回目のゲスト。
この人はやっぱりヘンタイだと思いました(笑)Mだし、S。
面白くしよう、とか考えてるのではなく、こう出たら相手はどう返してくるかな、というのを楽しんでるみたいに見えました。
こういう企画ではなく、普通のドラマや映画でこれをやられたら、共演者は怖いと思います、が、自分でも知らなかった引き出しを開けてくれる人、であるのかもしれません。なんか、役者というより三谷幸喜とかクドカンと同じ演出家タイプに思えました。
№6:八嶋智人
つるべさん、ご立腹でした(笑)だって、つるべさんの芝居は素無視なんだもん。
人の芝居は無視して自分だけ芝居して、相手のセリフの揚げ足取りみたいな返しばっかりして、そりゃあつるべさん、不愉快だったでしょう。プレビュー見ながらのトークで八嶋さん、「もっとほんわかしたものにしたかったんだけどなぁ~」とおっしゃってましたが、結局自分の得意な方に行ってしまったってことなんだろうな。
№7:羽野晶紀
迷ったけど、羽野さんを先に。
ストーリーの進行はつるべさんにまかせっきりで、自分はどうしたらいいかってことについてはあんまり考えていなかったように見えました。即興だからストーリーはなくていい、わけではなく、即興でもやっぱり芝居として1本筋の通ったものに出来上がるのが理想なわけで、それにはお互いがお互いを探り合い読み合う必要があると思うんだけど、羽野さんの場合はつるべさんのフリをフリとも気付かず自分で先を考えることもせず、ただその場限りの反応をしているようにしか見えなかった。それでも樹理ちゃんを抑えて7位なのは、ちょっと病んでる主婦、というキャラをちゃんと作って演じていたからです。
№8:上野樹理
・・・で、残念ながら今をときめく樹理ちゃんが今回のビリ。
芝居になってなかった、と思います。つるべさんとのトークになっちゃったなあと。
自分では自信があったと思われるし、設定も考えて始まったんだけども、つるべさんに伝わらずにカラ回りしてしまい、つるべさんがそれに気がついてからは「なんでそんな設定にしたのか」ということを芝居を通して樹理ちゃんに質問するみたいな内容になってしまいました。
この人は、山田孝之くんと同じく、何者かにならないと、素では自分を表現できないタイプの役者さんなんだろうなーと思われます。
そういうタイプの役者さんは神がかった演技をする場合も多いんだけどね。
現在、其ノ9まで出ているらしく、順次レンタルしていくつもり。楽しみだわ。
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