思い出す

2012年5月9日 日常
思い出す
なんだか、切ない。

子どもころに戻りたい。

おばちゃんの家に行きたい。

子ども時代の憧れが全部あったところ。

「良妻賢母」を体現したようなおばちゃん。

「一家の大黒柱」を体現したようなおじちゃん。

仲の良い子どもたち(いとこたち)は、私を可愛がってくれるお兄ちゃんお姉ちゃんたち。

掘りごたつ、縁側、庭には犬と、金魚の泳ぐ小さな池。
廊下の奥のちょっと入りにくい雰囲気のご夫婦の部屋と、その先にある薄暗いお便所。
2階にある一人に一つずつの子ども部屋。
一番上のお姉ちゃんの部屋には、プレスリーのポスターが貼ってあった。
二番目のお姉ちゃんの部屋にはピアノと、色とりどりのお化粧品。
お兄ちゃんの部屋にはたくさんのマンガ。
どの部屋で遊ぶのも楽しくて。

おばちゃんちは、国道のすぐ近くなのに車の音なんて全く届かない閑静な住宅街の中にあった。
自転車で20分ぐらいのところにある私の家はバス通りに面した商店街の中にあって、いつも騒がしかったから、おばちゃんちのしんとした空気感が大好きだった。

縫物と編み物が得意だったおばちゃんは、遊びに行くといつも、そのしんとした和室で何か縫っているか、編んでいるかしていた。
家では絶対に出てこないような美味しい、あるいは素朴なお菓子や飲み物が必ず出てきて、それをいただきながらおしゃべりしたり、本を読んだりしていた。
あの“しん”とした部屋で、おばちゃんの傍らで過ごす時間が好きだった。
あそこに戻りたいと、最近よく思い出す。

今思うと、母親から常に「優等生」を求められていた自分が、唯一解放される空間だったように思う。
何を言っても何をやっても叱られない、否定されない場所。

おばちゃんの家があったから、私はなんとかかんとか大人になれたのかもしれないと、今頃になって思ったりする。

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