「あの家に暮らす四人の女」三浦しをん
鶴代、佐知、雪乃、多恵美、という4人の女性の日常が描かれる、谷崎潤一郎「細雪」のオマージュと言われる小説。
とはいっても、そこはしっかり「しをん節」が貫かれている。

波乱万丈な物語ではないのに、笑ったりときめいたりびっくりしたりドキドキしたりハラハラしたり、と、感情をとても刺激してくれる小説。
語りの視点が移ろうんだけど、この世の人ではなくなった父の視点で締めくくられることで、主人公たちだけでなく広く「人の営み」を俯瞰する視点に導かれて、いろんな物事に対する愛しさみたいなもので胸がいっぱいになった。

というのが読了直後の感想だったんだけど、ちょっと冷静になってから思ったのは、「こういう暮らしって、なんか、女性にとっての理想じゃない?」
気の合う女同士で暮らしていて、何かあると「奥様、お嬢様」とはせ参じてくれる男が近くに暮らしていて、生身で存在していたらいろいろとメンドクサイ「夫もしくは父親」は空の上から見守っていてくれている。

しをんさん、こんな小説、書いちゃってよかったの?(^_^;)
・・・と思ったけど、織田作之助賞受賞してるんだからいいのか。

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