原作未読で、どんな内容か全く知らず、単なるミステリーだと思って気軽に観に行ったのはちょっと失敗だったな・・・と、そんな風に思うのは映画に対して失礼かもしれないけど。

ものすごく重いテーマを孕んだ物語で、考えさせられることがたくさんあって頭が痛くなりそうなくらいでした。

現代の問題として、脳死について、ということがあって、不勉強な私は何にも知らなかったのですが、脳死判定というのは、臓器移植に同意した後に行われるものだと。

「脳死状態です」との判断が出た後に、「臓器移植、どうしますか」、じゃあないんですね。
「臓器移植、どうしますか」と問われて、イエスの場合のみ、脳死判定が行われる、と。
ノーだったら脳死判定も行われないそうです。

ここ、なんかものすごく引っかかりました。
もし自分が家族の立場だったら、先に「脳死状態が確定」だと言われたら、臓器移植にも同意できるかもしれない。だけど、順番が逆だったら。
結果的には同じこと、という考え方なんだろうとは思います。
脳死状態なら移植可、脳死状態でなければ不可。

だけど、心情的に。
やっぱり、一縷の望みって捨てきれないと思うのです。もしかしたら奇跡が起きるかもしれない、と。
でも、臓器移植に同意→脳死判定、ということは、その一縷の望みを自分の意志で断ち切らなければいけないということです。
人の命のことだから、医者という第三者にその部分を任せてしまってはいけないのかもしれない。
まず自分が、あるいは家族が決めなければいけないのかもしれない。

だけど、あまりにも厳しい、残酷なことだと思いました。

全編を通して、辛いばかりの映画ですが、納得できる結末となっています。
2時間を通して観客も一緒に悩み苦しみ、着地点を見つけることのできる映画になっているのは、監督、脚本、役者陣など製作陣のレベルの高さではないかと思います。

それと、個人的には、「臓器移植」というシステムが現状、動いている社会において、自ら意思表示をしておくことは必要だなと思いました。

娯楽として観ることはできない映画ですが、とても意義深い作品であると思います。


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