唐十郎の芝居は、19か20の頃に新宿のテントで「犬狼都市」を観た時の衝撃が強すぎて、「テントでやらない唐十郎の芝居なんて」という思いがずっとあって、観に行くことのない何十年を過ごしてきました。

そんな私を今回の舞台に向かわせたのは、名優たちがそろったキャストです。

・窪田正孝
・柚希礼音
・北村有起哉
・丸山智己
・江口のりこ
・石井愃一
・山崎銀之丞
・六平直政
・風間杜夫
そして、演出を兼ねた金守珍。

私の大好きな役者さんたち、こんなにたくさんをいっぺんに観られるなんて!
行かなかったら一生後悔すると思いました。

そして、ウン十年ぶりに観た、唐十郎の作品。

舞台に照明が入ると月光町の「大日本帝国探偵社」のセットが浮かび上がり、山崎銀之丞の「風の商人」が客席から現れて風を売り歩くところから始まるのですが、一瞬にして世界に引き込まれます。

唐十郎の戯曲は難解、誰もが口を揃えて「わからない」と言いますが、これは「わかる、わからない」の世界ではないと思うのです。
なんというか、感じられるか感じられないか・・・その世界に入って行けるか行けないか、だけだと。
入っていければもう、あとはその世界を感じるままに漂うというか。
その快感が舞台の醍醐味なんだなと、私はやっぱり舞台が好きだな~と、心の底から感じられた至福のひとときでした。

東京シアターコクーンでの公演を終えて、8日から大阪公演が始まって、明日が大千秋楽、というところで昨日、主演の窪田正孝くんが負傷、今日は開演が35分押しとなり、窪田くんは車椅子に乗ってのお芝居となりました。
設定が「精神病院を抜け出してきた男」なので、違和感は全くないのですが、そもそもが動きの多い、肉体を激しく使っての芝居が唐作品ですので、ご本人はどれほどもどかしく悔しかっただろうと拝察します。

けれど、お芝居とは不思議なもので、車椅子だったからこその美しさだろうと思える場面が多々あり、これは急きょ車椅子バージョンに演出を変えた金氏の底力でしょうか。

また、元宝塚トップのちえさん(柚希礼音)が、あれだけの手練れの名優のなかで遜色なく光っていて、宝塚はこんなすごい役者を育てる場所になったのか、という感慨もありました。

とにかく、幸せなひとときでした。
やっぱり観劇はやめられないな~、困った。


コメント

アミ
2019年3月13日7:57

凄い顔ぶれ~♪
至福の時間を持たれただろう…と、思いました。
観劇は、行きだすとやめられない。
でも、年金生活者には、ちとお高い!(-_-;)
行動に移すのには、年を取り過ぎました。(^^)/

もりのいずみ
2019年3月14日1:34

☆アミ様
そうなんです、舞台は“お高い”んですよ~(涙)
夫が定年を過ぎ、私ももうフルタイムで働く気力体力がなく、控えていかねば…と思うそばからこんな素晴らしい作品を観てしまうと心は乱れ…困っているのです。

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