城田優演出「ファントム」
2019年12月19日 舞台 コメント (2)
さて、先週末の東京遠征、からの、梅田芸術劇場「ファントム」
ガストン・ルルー原作の小説「オペラ座の怪人」からは、誰もが知ってる「オペラ座の怪人」と、知らない人もいるかもしれない「ファントム」という二つのミュージカルが出来ています。
日本では劇団四季がその版権を持っている「オペラ座の怪人」は、ファントム=エリックと歌姫クリスティーヌとラウル・シャニュイ子爵の三角関係が主軸に描かれていて、エリックの悲恋もの、みたいな感じに仕上がっているのだけど、「ファントム」の方はエリックの人としての悲劇、悲哀、が主軸に描かれています。
「オペラ座の怪人」の方のエリックも、クリスティーヌをさらってきてお酒(薬?)で眠らせて自分のものにしてしまうという、やることがたいがいな男だけど、「ファントム」のエリックは、「オペラ座・・」のエリックよりももっともっと人として歪んでいる人物。
私の初見は2011年の宝塚花組版だったのだけど、その時には「見かけは王子様然としているけど、中身は幼稚なお子ちゃまじゃん!」と思い、なんでこのような歪んだ人格の人が主人公として描かれるのだろうかと首をひねったものでした。
ところが、2018年に宝塚雪組で再演されたときの、だいもん(望海風斗)のエリックは、宝塚なので王子様然としたビジュアルはそのままだけど、役の造形にその「お子ちゃま」な部分が垣間見えて、この作品の描くドラマがちゃんと伝わってきてすごく感動したのね。
それがあったから、今回の梅芸公演の「城田優演出」も見てみたいと思ったのでした。
これがまあ、凄かった!
これこそ、単に「良かった」という言葉ではとても足りない、「すごいものを観た」という言葉がふさわしい舞台でした。
城田優は、この「ファントム」におけるエリックの本質をすごく理解していて、ビジュアルでカモフラージュすることなくストレートに、わかりやすく観客に見せてきました。
私は、エリック、クリスティーヌ、そして「実はエリックの父親」であるキャリエール、それぞれの心情にいちいちリンクしてしまい、悲しみ、切なさ、救い、絶望、等々のいろんな感情にもまれ、1幕から泣きどおしでした。
こんなにも濃密はお芝居を観たのは、そうだなー、1985年の「きらめく星座」(井上ひさし作)以来なんじゃないかしら。
城田優は、2014年にエリックを演じているのだけど、きっとその時に「自分だったらこうやるのに・・・!」っていう理想が見えたんだろうなぁ。
ヘイトやらレイシズムやらの不穏な言葉を耳にすることが多い今の時代に、すごく考えさせられる作品です。それは別に、城田くんが狙った事ではないと思うのだけど。
劇場の係りの人たちが、ディズニーランドのキャストのように衣裳を来て観客を出迎え、案内してくれました。
場内はロビーにもセットが置かれ、客席には開演の10分か15分前ぐらいから役者さんたちが現れ、プログラムを売ったり、歩き回ったり。3階席までそういう演出が徹底されていたようで、舞台上でも人々が動き出して、パリの街中の雰囲気を高めてくれます。
2幕の始まりも、普通はブザーが鳴って客電が落ちて、観客は「待ち」の体制に入るのですが、今回はなんの前触れもなく突然客電が落ちて真っ暗に。そして場内の非常灯がゆらゆらっと不気味について、消えて・・・もう、一気にオペラ座の地下に連れていかれます。
ミュージカルなんだけど、それを忘れるくらい、お芝居が濃い。
いやもう、ホントにホントに素晴らしかった。
クリスティーヌの木下晴香ちゃんが、綺麗でかわいくて美声で、イメージぴったりだし、キャリエールの岡田浩暉氏が渋くて素敵だったし、ルドゥ警部に神尾佑氏、こんなところでナマ神尾さまにお会いできるなんて感激!だったし。
休憩時間に思わずロビーに走って、DVDの予約をしてしまったよ。
ダブルキャストの加藤和樹くんも観たかったな~!
演出家・城田優の今後に、大いに期待したいです。
ガストン・ルルー原作の小説「オペラ座の怪人」からは、誰もが知ってる「オペラ座の怪人」と、知らない人もいるかもしれない「ファントム」という二つのミュージカルが出来ています。
日本では劇団四季がその版権を持っている「オペラ座の怪人」は、ファントム=エリックと歌姫クリスティーヌとラウル・シャニュイ子爵の三角関係が主軸に描かれていて、エリックの悲恋もの、みたいな感じに仕上がっているのだけど、「ファントム」の方はエリックの人としての悲劇、悲哀、が主軸に描かれています。
「オペラ座の怪人」の方のエリックも、クリスティーヌをさらってきてお酒(薬?)で眠らせて自分のものにしてしまうという、やることがたいがいな男だけど、「ファントム」のエリックは、「オペラ座・・」のエリックよりももっともっと人として歪んでいる人物。
私の初見は2011年の宝塚花組版だったのだけど、その時には「見かけは王子様然としているけど、中身は幼稚なお子ちゃまじゃん!」と思い、なんでこのような歪んだ人格の人が主人公として描かれるのだろうかと首をひねったものでした。
ところが、2018年に宝塚雪組で再演されたときの、だいもん(望海風斗)のエリックは、宝塚なので王子様然としたビジュアルはそのままだけど、役の造形にその「お子ちゃま」な部分が垣間見えて、この作品の描くドラマがちゃんと伝わってきてすごく感動したのね。
それがあったから、今回の梅芸公演の「城田優演出」も見てみたいと思ったのでした。
これがまあ、凄かった!
これこそ、単に「良かった」という言葉ではとても足りない、「すごいものを観た」という言葉がふさわしい舞台でした。
城田優は、この「ファントム」におけるエリックの本質をすごく理解していて、ビジュアルでカモフラージュすることなくストレートに、わかりやすく観客に見せてきました。
私は、エリック、クリスティーヌ、そして「実はエリックの父親」であるキャリエール、それぞれの心情にいちいちリンクしてしまい、悲しみ、切なさ、救い、絶望、等々のいろんな感情にもまれ、1幕から泣きどおしでした。
こんなにも濃密はお芝居を観たのは、そうだなー、1985年の「きらめく星座」(井上ひさし作)以来なんじゃないかしら。
城田優は、2014年にエリックを演じているのだけど、きっとその時に「自分だったらこうやるのに・・・!」っていう理想が見えたんだろうなぁ。
ヘイトやらレイシズムやらの不穏な言葉を耳にすることが多い今の時代に、すごく考えさせられる作品です。それは別に、城田くんが狙った事ではないと思うのだけど。
劇場の係りの人たちが、ディズニーランドのキャストのように衣裳を来て観客を出迎え、案内してくれました。
場内はロビーにもセットが置かれ、客席には開演の10分か15分前ぐらいから役者さんたちが現れ、プログラムを売ったり、歩き回ったり。3階席までそういう演出が徹底されていたようで、舞台上でも人々が動き出して、パリの街中の雰囲気を高めてくれます。
2幕の始まりも、普通はブザーが鳴って客電が落ちて、観客は「待ち」の体制に入るのですが、今回はなんの前触れもなく突然客電が落ちて真っ暗に。そして場内の非常灯がゆらゆらっと不気味について、消えて・・・もう、一気にオペラ座の地下に連れていかれます。
ミュージカルなんだけど、それを忘れるくらい、お芝居が濃い。
いやもう、ホントにホントに素晴らしかった。
クリスティーヌの木下晴香ちゃんが、綺麗でかわいくて美声で、イメージぴったりだし、キャリエールの岡田浩暉氏が渋くて素敵だったし、ルドゥ警部に神尾佑氏、こんなところでナマ神尾さまにお会いできるなんて感激!だったし。
休憩時間に思わずロビーに走って、DVDの予約をしてしまったよ。
ダブルキャストの加藤和樹くんも観たかったな~!
演出家・城田優の今後に、大いに期待したいです。
コメント
やはり、若さですよ!
できる年代のうちに、いっぱい堪能なさいませ。
良い思い出は、いつまでも、色褪せませんから…。
沢山、引き出しのある、お年寄りって、素敵じゃないですか~?(笑)
アハハ…。 私の事ではありませんよ。 願望です!!(-_-;)
感情が先走って、何がどう良かったのかわからないレポートになっちゃってますね、お恥ずかしい・・・(;^_^A
劇場に「行く」ことがだんだん億劫に感じるようになってきていて「どこでもドアが欲しい~」が口癖ですが、そんな気持ちに負けずに劇場には通い続けたいです。